「職人写真」 2015.April

2015.4/3-12 「職人写真」tokyoarts gallery
2014Iinternational photo award 受賞記念写真展

 

今回の主役は、ロックスターでもなければ、いわゆる著名人でもない。
彼らは、いうなれば無名の職人。
色褪せたTシャツ、ペンキが飛んだニッカポッカ、土のついたブーツや足袋――。

日常の中でそんな姿の彼らとすれ違ったり、ふと目に飛び込んできた時、
お世辞にも、おしゃれだとか、カッコいいなんて思ったことはなかった。

しかし、どうだろう。
あらためてカメラ越しに見る彼らときたら、
ジワジワと迫ってくるカッコ良さを、それぞれに秘めている。
培った技術と使い込んだ工具を武器に体ひとつでどこへでもいく。
そうして、道をつくり、家をつくり、安全をつくる。
その更なる先には、誰かの笑顔――。
そんなふうに、彼らの仕事は、
日本の当たり前にある日常や、小さな幸せの基盤を
支えてくれているのだと気づかされる。

普段は表舞台に立つことがない彼らだけど、
こうして職人たる武装をしてカメラの前に立つ時、
その肩に背負う、仕事への誇りが自然と彼らを輝かせる。
見慣れない工具までが、まるでガンダムが装着してる武器のようだ。
日常の中で見過ごしがちな一瞬や出会いがあるように、
私たちの当たり前の生活は、多くの誰かによって支えられ守られている。
たとえば、彼らもそんな隠れたヒーローのひとり。

なぜ、今、彼らを撮りたかったのか――。
フォトグラファー・松田忠雄の意図する想いは、
彼らを眺め、そこから何を感じるか、
受け取る側の純粋な目に託されている。

People grow through experience
if they meet life honestly and courageously.
This is how character is built.

正直に、そして勇敢に人生と向き合うことができれば、
人間は経験を通じて成長します。そうして個性(人格)は作られるのです。
エレノア・ルーズベルト

ライター  釣屋貴子

 

建築職人—ニッカポッカの男たち

プレスリリース

プロ機材ドットコム

写真展パンフレット